
2025.06.23 コラム
アルトゥーロ・フェラーリン
― 空を越えて日伊の心をつないだ、ひとりの飛行士の物語 ―
Buongiorno a tutti! Come state?
皆さま、こんにちは!お元気ですか?
今、大阪で開催されている国際博覧会「エキスポ2025」。
世界中の国が未来に向けたアイデアを持ち寄るこの場所で、イタリアはある特別な物語を紹介しています。今日はそのお話を少し紹介します。
それは――約100年前、1920年にイタリアの飛行士アルトゥーロ・フェラーリンが、イタリアから日本までおよそ100日かけて空を飛んだという実話です。
ちなみに、ジブリ『紅の豚』でポルコの戦友として登場するフェラーリン少佐のモデルともいわれています。
展示されているのは“夢を乗せた飛行機”
会場では、彼が実際に操縦した飛行機「SVA 9」の模型が展示されています。少し見えにくいですが、以下の写真の上部にあるのがそうです。
でも、これはただの昔の飛行機ではありません。そこには、「いのち」「芸術」「挑戦」という、大切なメッセージが込められているのだそう。もう少し詳しく見てみましょう。
ローマから東京へ――空を飛んだ友情の旅
1920年。まだ飛行機の技術が不安定だった時代に、若きイタリア空軍の飛行士アルトゥーロフェラーリンは、ローマを飛び立ちました。出発したのは合計で4人。
目指したのは、はるか遠くの東京でした。
途中でエンジンの整備や燃料補給のために30回程着陸しながら、109日をかけて合計18,000kmもの距離を飛びぬけたのだそうです。
この旅は、ただの冒険ではありませんでした。
国と国、人と人を「空」でつないだ象徴的な出来事であり、初めてのヨーロッパからアジアに飛んだ飛行機は、イタリアと日本の国交を繋ぐ大きな架け橋となりました。
過去と未来をつなぐ模型
実際に、イタリア・パビリオンに展示されている模型を見てみると、とてもかっこよく、今の飛行機よりもこんなに小さな飛行機で100日を超える日数を飛び続けたという事実に驚きます。今の技術との違いを感じると同時に、単なる昔の記録ではないとも感じることができます。
今回のイタリア・パビリオンのテーマは、
「芸術は命を再生する(L’arte rigenera la vita)」
芸術は、心を動かし、希望を与え、未来を切り開く力を持っています。
「芸術が命を再生する」とは、どういうことだろう?
「想像力と勇気」は、私たちをどこまで運んでくれるのだろう?
そして、これからの100年、私たちはどんな“空の物語”を描けるのだろう?
100年前のフェラーリンの飛行も、ただの飛行技術の挑戦ではなく、平和や創造の力を伝える“芸術”のような旅だったといえるかもしれません。
もしエキスポ2025を訪れたら、ぜひイタリア・パビリオンでこの飛行機模型を見てみてください!
そこには、100年前に空を越えて友情を届けたフェラーリンの魂と、
「芸術は命を再生する」という、今を生きる私たちへの力強いメッセージが宿っています。
(ちなみに、なんと万博後にこの骨組みは本当の飛行機になり、今度は日本からイタリアに飛ばすことを計画しているんだそうです…!なんとロマンあふれることでしょう!)
それでは次のコラムまで、a domani!
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