2025.10.17 コラム ついに万博閉幕!イタリア館にラストに運び込まれた「正義の旗」を見てみよう
Buongiorno a tutti! Come state?
皆さんこんにちは!お元気ですか?
10月13日、半年間にわたって開催された大阪・関西万博がついに閉幕しましたね。
“万博ロス”の方も多いのではないでしょうか。
数あるパビリオンの中でも、イタリア館の人気は群を抜いていました。(待機列の長さが話題になるほど!)
それもそのはず。歴史的にも大変貴重な芸術作品が次々に運び込まれたのです。
これまでアドマーニのコラムでもいくつかご紹介してきましたが、
今回は万博シリーズの締めくくりとして、終盤に登場したペルジーノの《正義の旗》をご紹介します。
9月以降にイタリア館を訪れた方は、実際にご覧になったかもしれませんね。

ペルジーノと「正義の旗」
ウンブリア派を代表するルネサンス期の画家、ピエトロ・ペルジーノ(1450–1523)による《正義の旗》は、単なる宗教画ではなく、都市国家ペルージャを象徴する特別な作品です。
ペルジーノは穏やかな色調と調和のとれた構図で知られ、あのラファエロの師匠としても有名です。
「旗」なのに旗がない?
タイトルを見て「旗ってどこに?」と思った方もいるかもしれません。
実はこの絵そのものが「旗」だったのです。
修道院の依頼で制作され、町を災害や疫病から守るため、そして教会のシンボルとして掲げられた祭礼用の旗でした。
(とはいえ風にはためく布ではなく、竿の先に横棒を渡して吊るす「ゴンファローネ」と呼ばれるタイプです。)
作品の中央には幼いキリストを抱く聖母マリア、その両脇には天使たちが優しく見守り、足元ではアッシジの聖フランチェスコと聖ベルナルディーノが跪いて祈りを捧げています。
さらに背景には当時のペルージャの街並みが細かく描き込まれており、なんだかとっても「ご当地的」。
市民や聖職者が一体となって祈る様子が感じられます。
祈りと共同体の象徴
戦乱や疫病が絶えなかった15世紀のイタリア。
人々は「正義」や「信仰」を支えに、共同体としての絆を守ろうとしました。
《正義の旗》はその象徴であり、実際に町を巡る行列で掲げられていたといいます。
当時のウンブリアの人々にとってまさに「我らの旗」だったこの作品、市民の心をひとつにするのに一役買ったにちがいありません。
万博のあとも会える!
惜しまれつつ閉幕した万博ですが、朗報です。
《正義の旗》も、以前ご紹介した《アトラス像》も、そのままイタリアへ帰る……わけではありません!
ありがたいことに、どちらも大阪市立美術館で来年1月まで展示されるそうです。
(詳しくは👉 大阪市立美術館 特設ページ)
お近くへ行かれる方は、ぜひもう一度イタリアの芸術と再会してみてください。
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